努力は必ず報われる

2019/11/29

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 「来年度は1年生の担任をお願いします」ー校長にそう言われた時、私の頭の中にはいろんな感情が込み上げてきた。その中でも不安が間違いなく大きかった。「2年目の自分に1年生を育てることができるのか」そんなプレッシャーを感じながら、入学式までの間、自分には何ができるだろうと考えた。まずは何より子供たちを笑顔で迎えてあげよう。そう考えた私は入学式の呼名の時、子供たちの目を見て呼んであげたいと思い、クラスの名簿を暗記した。そして入学式、手には名簿を持っているが一切目を向けず、私は目線を子供たちだけに向け、目を見て呼名をすることができた。そうして私と1年生との生活が始まった。


 そんな私が受けもつことになった中にA子という金髪の女の子がいる。A子は、入学前には幼稚園や保育園にも通っていなかったため、入学当初は周りとのかかわり方が分からずに一人でいることが多かった。文字の読み書きも全くといっていいほどできない状態だった。学校生活のほとんどが初めてだったA子は、はさみの使い方さえ分からず、友達の服を切ってしまうこともあった。そんなA子を見た私は、「何とかしてA子を変えたい」と強く思うようになった。休み時間にはA子を連れて友達と遊びに誘ったりお手伝いを頼んだり、なるべくA子が他の人と関わる時間を増やした。なかなか自分の感情を伝えることができなかったA子だったが、徐々にコミュニケーションを取れるようになり、学校行事などを通して、A子の生活の中に笑顔が増えてきた。学習面でも少しずつ成長が見られ、夏休みには「Aさんパワーアップ大作戦」という問題集を作り、家庭と協力しながらA子のバックアップを行った。すると夏休み明け、A子は大きく成長して帰ってきた。国語の作文では、短くても一人で文章を書くことができるようになっていた。算数でもドリルの点数は明らかに伸びていた。その後もA子は確実に自分を伸ばしていった。友達にも積極的に関わるようになり、休み時間には友達と外へ飛び出すようにもなった。朝、私が教室に入ると「先生!この間、○○ちゃんとお泊りしたんだ!」ときらきらした笑顔で私に話しかけてきた。私はそんな楽しそうなA子を見るのがとても嬉しかった。


 そして3学期、1年間のまとめのテストの時期。この1年間の集大成を見せる場で、何とかA子にはいい結果を残してほしい。そう思いながら私はテストを受けるA子を見守っていた。放課後、職員室でそのテストの丸付けをすると、なんとA子は100点だった。初めての100点だ。私は思わず声を出し、職員室で小さくガッツ ポーズをした。「努力は必ず報われる」。私はA子にそう教えられたように感じた。この1年はA子にとっても私にとっても大きく成長できた1年になった。 (T)


<NO. 155 令和元年6月1日発行より>

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