村ぐるみの道徳教育の実践

 

 昨年12月22日(土)、23日(日)に第7回教育者モラロジー研修会がモラロジー研究所(千葉県柏市)で開催されました。参加者は80名、内現職教員は34名でした。
 その中で、学校と地域が一体になった道徳教育のあり方の実践発表をさせていただきました。各校の実践のヒントにしていただけたら幸いです。

 

一 はじめに
 三原村は、四万十市から車で30分ほどの所、標高120メートルの高原に位置します。自然豊かな地域です。人口が、1,500人ほどの典型的な少子高齢化の地域です。
 平成25年度に、高知県の「道徳教育地域連携事業」を村が受けました。これは教育委員会を中心に、市町村全体で道徳教育を推進していこうとする3年間の指定事業です。私は、小、中学校兼務の道徳教育推進教師として、学級も教科ももたず、小学校と中学校の全学級の道徳の時間すべてにかかわることになりました。籍は拠点校である中学校にありますが、週の2日から3日は連携校である小学校に行きました。事業内容は、村ぐるみで道徳教育を推進し、児童生徒の道徳性を高めるというものです。

 

二 研究の実践
1 小中連携
 小学校では、次のようなことを学ばせていただきました。
●授業研究
 低、中、高学年の3つのブロックに分かれて、指導案検討をし、全体で模擬授業を行い、全員が研究授業を見て協議を行います。全員が主体的に参加し、深い協議がなされていることに大変刺激を受けました。出された成果と課題は、次の授業に引き継がれていました。
●環境作り
 育てたい子供像と研究テーマに沿った掲示が大変美しく、充実して参考になりました。
●道徳参観日
 全学級がゲストティーチャーを招いた授業を展開していました。身近な地域の人が授業で話をしてくれることで、子供たちは関心を持って授業に参加していました。
●特別支援学級
 最も楽しかったのが、特別支援学級での道徳授業です。学年も障害の種別も違う2人の児童に、担任が1人ずつついています。最初は別々に授業していたのですが、そのうちに一緒に行い、担任は交代で授業をすることになりました。さすが小学校の先生です。毎回、展開場面では、本物の野菜を収穫させたり、よい挨拶を評価して表彰したり、お面やペープサートを使ったりと様々な工夫がありました。「はしのうえのおおかみ」では、私もおおかみ役で参加させてもらいました。2人とも、道徳の時間が大好きになりました。

 

2 拠点校での授業づくり
●オリエンテーション

 年度当初に全校生徒で実施しました。初年度は、多様な考えを出しやすいたとえ話を用い、道徳の時間の特質について子供たちと確認をしました。教師間では、道徳の時間に対する共通理解を図ることができました。2年目は、主人公が友達の発言にハッとさせられる読み物教材を使って、友達と学び合うことの意義を理解させました。3年目は、もっと考えを深めるために役割演技を取り入れて「聴く」ことの大切さを感じ取らせました。
●学年協働の道徳授業
 道徳の時間は、学年部の教員全員が参加します。どの学年も1学級ですが、教員は3名います。交代でT1(中心に指導する教員)を担当し役割分担をすることで、それぞれの得意分野を生かすことができました。互いの授業を見合うことで、授業力向上や生徒理解につながりました。
●道徳参観日
 初年度は、保護者や地域の皆さんに全校の様子を見てもらう目的で、全校道徳を行いました。3年目は、小学校の体育館で全校道徳を行いました。村ぐるみの道徳教育にするためには、小中すべての道徳の時間が参観できるようにしたいと考えました。
 2年生で室戸のジオパークを題材にした教材で授業をする時は、授業者の先生は実際に室戸まで行き、自分で写真を撮り、現地でのエピソードを交えながら授業をしました。生徒の反応は、いつもと全く違いました。本物の威力を実感した授業でした。
●研究協議
 最初はKJ法(KJ法:情報をカードに記述し、カードをグループごとにまとめて図解する方法)で行いました。授業づくりにしぼって話し合うために、指導案拡大法に変更しました。総括の場面では、表(マトリックス法)にすることで、成果と課題が整理しやすくなりました。目的に応じた「思考ツール」の活用は、授業研究でも有効です。

 

3 村ぐるみの道徳教育
●道徳ハンドブックの活用

 ハンドブックは、高知県教育委員会が家庭用に作成し、配布しています。親子で道徳教育について話し合える内容です。配っただけでは、活用されませんので、小中合同で定期的な働きかけを行いました。
●子供の交流
 運動会や遠足、読み聞かせなどの行事での交流がありましたので、目的と振り返りを意識させるようにしました。毎年実施している中学校への体験入学では、これまでは6年生は後ろで参観していただけですが、小6と中1との合同道徳を実施しました。
●道徳教育地域連携会議
 教育委員会、保護者、スクールガードリーダー、文化財保護委員長、社会教育委員長、地域住民代表など様々な分野で活躍されている方々が委員になってくださり、村ぐるみの道徳教育の推進力となりました。全校道徳や異学年での授業を実施する上で、地域の方にも授業に参加していただきました。

 

三 教育効果の検証
 全国学力テストの結果では、2年目で「自尊感情」「規範意識」「言語活動・読解力」が高くなり、最終年度には、教科への関心等も高まりました。
 年度末の全教員へのアンケートでは、道徳に関わる生徒の望ましい姿で「多くなった」と教員が感じているのが、次の7項目でした。①道徳の時間に、よく考え発言し意欲的に取り組む。②粘り強く努力する。③きちんとあいさつができる。④世話になった時などに「ありがとう」と言える。⑤学級や学校の一員として、協力してよりよい学級や学校をつくろうとする。⑥動植物を大切にする。⑦約束やきまりを守る。また、「しっかり考え、自分の言葉で発言しようとするようになった」、「きまりを守るようになった」というものも多くありました。

 

<NO. 154 平成31年3月1日発行より>

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