努力なくして結果は出ない

2019/09/02

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 私が受け持っている小学校四年生のA君は、二年生の時に転校してきた。運動が得意で足は速く、ドッジボールでは六年生にボールをどんどん当ててしまう。係の仕事や手伝いなどもすすんで行うことができ、とても頼りになる存在だった。しかし一つだけ欠点があった。それは、勉強になると「どうせ僕はできないから。バカだから」と、運動や生活の中での表情とは、真逆になる。


 四年生になり、再び担任をすることができた。「陸上大会に出たい」と言うように、彼は少しずつ変わり始めてきた。もちろん、タイムだけで見たら、出られるタイムである。しかし、部活動を始めたばかりの四年生であることや、来年度のことなどを考えていくと、今年は難しい。その旨を伝えると、とてもがっかりし、練習も適当に行っていた。変わり始めていた彼なのに、私はそんな姿に驚き、「努力なくして、結果はでない」と彼に話をした。その日から彼の練習への態度がガラッと変わった。


 そんな時、学校行事の引率で担任の不在が続いた。「みんなで力を合わせて頑張る」と声を掛け合い、自習も給食も掃除も当たり前のことを当たり前に頑張った。彼はもくもくと学級のために行動したそうである。


 ようやく、私と一緒に学習ができるようになったその日、これまで「先生、分からないから教えて」と何度も言っていたのに、突然無口になった。下を向き、口を真一文字に結んでいた。その頬には、涙が伝っていた。私は驚いたが、とても嬉しかった。それと同時に数人の子も気づき、こっそり伝えに来てくれたが、あっという間に彼をサポートしていた。その双方の姿に、胸が熱くなった。その時、「できるようになりたい!」という気持ちが芽生えた彼の姿が、とても眩しかった。


 今までは、親と一緒に宿題を行っていたが、今は一人で行うようになり、分からないと友達に聞くようになったという。それは、教室でも同じである。どんどん友達にも聞くようになった。そんな彼は、学級委員として学級をまとめながら、持久走大会では見事一位を手にした。


<NO. 154 平成31年3月1日発行より>

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