『ニューモラル』を道徳科教材に活用 なくなった「火箸」(『ニューモラル』No.588)

 

 2018年4月から、モラロジー研究所の『ニューモラル』のキャッチフレーズが、「道徳を考える月刊誌」に変わりました。そこで、どのように学校で活用したらよいか、道徳科授業での活用例を紹介します。

 

  明治21年に出版された『新編小学修身用書』という本があります。そこに、こんな話が載っています。

Ⓐ昔、借家に住んでいる伊藤長衡という人が、ある日、台所の敷板の下に火箸を落としてしまう。夢中になって探していると、知人がやってきて、「火箸の一本ぐらいどうでもいいではないか」と言う。

Ⓑこの話につけられた題は「人を思うこと、己を思うがごとくすべし」。長衡は怪訝な顔をする知人に対して、「火箸が惜しいわけではない。次にこの借家に住む人が、敷板を踏み抜いてしまうかもしれない。そのとき、私が落とした火箸のせいで足を傷つけたらいけないと思って、探しているのだ」と。

Ⓒ私たちは、この社会の中で多くの人々と関わり合い、支え合って生きている。気持ちよく生活していくために、こうした「つながり」を自覚して、お互いに「思いやりの心」を発揮することが不可決である。

Ⓓ「つながり」は家族や友人、知人だけでなく思いのほか広い範囲にわたっている。学校で言えば、図書室の本を次に借りる人や来年以降にこの教室を借りる人など顔の見えない相手も含まれている。今、私たちが暮らすこの社会は、先人たちが「自分の時代よりもよい世の中を実現して、次の世代に伝えよう」という思いの結果である。

 (『ニューモラル』No.588)

 

1 A案の例

(1)内容項目

  (B—7思いやり・親切)

(2)ねらい

○誰に対しても思いやりの心をもち、行動する。

(3)展開

《導入》

○なくした物や落とした物とかありますか。どんな物ですか。

○その時、どうしましたか。

★危険な物をなくした子の意見に注目する。

《展開前段》

①資料の前半(あらすじⒶ)を読む。

○「火箸」や昔の生活について簡単に説明する。

○知人が「『火箸』の一本ぐらいどうでもいいではないか」と言ったとき、長衡は何と答えたと思いますか。

・大事な火箸だから。

・火箸がもったいない。

・他の人が踏むと危ない。

②火箸を一生懸命探していたのは誰のためだったのでしょうか。

★自分の損得と他人への影響を第一に考えている人があることに気づかせる。

《展開後段》

③資料後半(あらすじⒷ〜Ⓓを読む。

○長衡はどのような気持ちで一生懸命に火箸を探したのですか。

○長衡の気持ちを知って、あなたはどう思いますか。

④「人を思うこと、己を思うがごとくすべし」について話し合う。

《終末》教員の説話

⑤一両を川に落とした武士が、三両を使って皆に探させた徳の高い武士の話をする。  

 

2 B案の例

(1)内容項目(B—8・感謝)

(2)ねらい

○先人の恩恵に気づき、次の世代に「よりよい世の中」を伝える生き方を志す。

(3)展開

《導入》

①みんなが、心豊かに暮らしていくためには、どのような心がけが必要か考える。

《展開前段》

②資料前半(あらすじⒶ)を読む。

○「新編小学修身用書」「火箸」について簡単に説明する。

○著者は、なぜ、この話を「道徳教材」にしようと思ったのか。

③資料の続き(あらすじⒷ〜Ⓓ)を読む。

○この話から何を学ぶことができるか、ワークシートに書き発表する。

・「人を思うこと、己を思うがごとくすべし」

・自分の失敗で誰かの迷惑になってはいけない。

・次の人たちのことを考える。

《展開後段》

④次の世代の人たちが心豊かな暮らしをするために、自分ができる取組を考え発表する。

《終末》

⑤教師の説話を聞く。

 例を挙げて、日々の生活が、過去の人や地域の先人のおかげで成り立っていることを話す。

 

<NO. 153 平成30年12月1日発行より>

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