「考え、議論する授業」への提案!②

一、主題 思いやりの実行で、清々しい心

内容項目

小学校高学年 誰に対しても思いやりの心をもち、相手の立場にたって親切にすること (Bー7)

 

中学校 思いやりの心をもって人に接するとともに、家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し、進んでそれに応え、人間愛の精神を深めること(Bー6)

 

二、主題の設定理由

 家庭や学校で、自分の思い通りに進まないとき、自分の欲求が満たされないときに不平や不満、それが重なるとストレスになる。そのことが大きな原因で、トラブルになることがある。

 

 その不平不満の原因が、自分中心のこだわりにあることを理解できれば、相手の立場に立って補い合う思いやりの心によって、少しでもその原因が解消し、清々しい気持ちになって、人間関係がよくなる。

 

三、資料名「気持ちよく過ごすには…」

 

四、本時のねらい

 自分の心の情況を理解して相手の立場に立った思いやりの心になることにより、少しでもその原因を解消し、気持ちよく生活できるようになる。

 

五、展開

(1)導入

〇最初に、自己の心の情況を捉える。

T「皆さん、今日の気分はいかがですか」

S「よくありません」「とてもいい気分です」

 

(2)展開

〇資料1の文を読んで、今の自分の気持ちを表してみる。

T「それでは、今の自分の気持ちが、曇り空の人は◎、青空の人は〇で表してみよう。また、なぜそのような気持ちなのか、その理由も書きましょう」

 

S1曇り空の児童の理由「体調が悪いから」「今日、宿題を忘れたから」「友達にからかわれたから」「昨日、友達からメールがこなかったから」「朝、遅刻しそうになって母に怒られたから」「私の言い分を親が聞いてくれないから」「友達とけんかしたから」

 

S2青空の児童の理由「体調が良いから」「部活の顧問の先生に褒められたから」「昨日、塾のテストの点がよかったから」「昨日、親に褒められたから」「友達と朝、楽しく登校できたから」「明日、家族で遊園地に行くから」「ゲームソフトを買ってもらえるから」

 

T「曇り空と青空のそれぞれに、共通することは何だろう。班で話し合ってみよう」

 

〇気持ちがすぐれない人も清々しい気持ちになれるようにする方法を考える。

T「自分も友達も先生も、みんなが、清々しく気分よく過ごすにはどのようなことをしたらよいだろうか。班で話し合ってみよう」

G1「休み時間に、友達と楽しい会話をする。遊ぶ」

G2「体調を整えればよい」

G3「注意されないように心掛ければよい」

G4「友達と仲良くするために、協力し合えればよい」

G5「注意されたとき、注意してくれた人がなぜ私を注意してくれたのか。相手の立場にたって考えてみる」

 

〇子供たちの考えるヒントとして資料2を提示する。

T「読んでみて、どう思いましたか」

S1「友達に注意されたとき、なぜ友達が注意してくれたのか考えようと思った」

S2「相手の立場になる」

S3「注意される側、注意する側の両方の立場に立ってお互いにフォローするように心掛けると良いと思う」

 

(3)終末

〇清々しく過ごすための心構えをノートに書こう。

 

資料1

「心の青空をさえぎるもの」

 日常の生活で、私たちは、気がつかないうちに、小さな不平や不満を持ってしまうことがあります。こうした不平や不満の感情が積み重なると、ストレスがたまり、怒りや恨みなどにも発展していきます。また、いつも「こうしなければいけない」とか「こうでなければならない」という思いが強く出ると、他人と意見が異なった場合に、争いになったり、何かと問題が起こったりするものです。そういう“こだわり”が、どうやら自分の思いどおりにならないという不平や不満をつくり出しているようです。不平や不満、怒りや恨みなどの感情は、ちょうど空に厚い雲がかかっていくように、“心の曇り”となり、心の青空をさえぎっていきます。

 

資料2

「こだわり」に対する「補い合い」という心がけ

 「あの人は、どうして〜してくれないのだろう」「こうするのが『当たり前』だと思うのに……、学校での日常生活の場で身近な人たちと関わる中で、こんなふうに思ったことはないでしょうか。

 

 掃除等の係当番活動を真面目にやらないで適当にやっている仲間を目にしたとき、また、思い通りにいっていないときには、友達に対して厳しい目を向けてしまうものです。「あの人がしっかりやらないから、自分が迷惑を被らなければならない」、そんな不満を抱いたとき、自分の中に要求心が生じてきます。

 

 私たちは、物事がうまく運ばなかったとき、その原因を他の人に求める心がはたらきやすいものです。特に自分自身が真剣に取り組んでいるときほど、他の人が自分ほど熱心ではないように見えて、その人をとがめたくなるのではないでしょうか。たとえ口に出して責めることはなかったとしても、言動の端々からそうした気持ちが伝わったら、相手も不快な思いをしなければならないでしょう。人間関係の不和は、こうしたことからも起こります。

 

 実際に学校で周囲の人たちとの間にトラブルが生じたときのことを思い起こしてみましょう。例えば、部活動で、練習を真面目にやらない仲間に注意をしたら、反発を受けた—。そのときの心の中には、「自分は正しい」という、かたくなな思いはなかったでしょうか。相手を非難するばかりで、心を傷つけるようなことをしていなかったでしょうか。

 

 私たちは自分で「よいこと」「正しいこと」をしているとき、自分一人の考えや価値観だけで判断し、相手や全体への配慮を忘れてしまっていることがあります。

 

 「あの人は正義感が強い」と言うとき、私たちはその相手に一目置きながらも、どこか近づきがたいような厳しさを感じているものです。よりよい人間関係を築いていくうえでは、人の短所や欠点を性急に正そうとするのではなく、ひと呼吸置いて、事態を冷静に見つめてみる必要もあるのかもしれません。

 

 また、相手の立場に立って物事をとらえ直すと、相手の意図や気持ちがよく理解できることがあります。また、第三者の立場に立って、公平な視点から自分と相手の意見を見つめてみることも大切です。

 

 何より忘れてはならないのは、相手を尊重し、お互いを補い合おうとする心ではないでしょうか。「自分の意見こそが正しい」と思い込み、それを押し通そうとする態度で臨めば、善意に基づく意見であっても相手には押しつけがましく受け取られ、人間関係にひびが入ってしまうことにもなりかねせん。しかし「補い合う」という気持ちになれば、「自分も相手から教わったり、助けてもらったりする面がある」ということですから、相手の意見にも謙虚に耳を傾けることができるのではないでしょうか。すると信頼と協調の関係が生まれ、自分と相手だけでなく、周囲にも安心が広がっていくことでしょう。

 

 このように相手を思いやる心づかいは、不平不満や自分中心という“心の曇り”を“晴れやかな心”に変えていくものです。そのためにはまず、こだわりを捨て、お互いに補い合う(フォローする)心の姿勢が必要になります。

 

 この補い合う心づかいで清々しいさわやかな心の青空を育てていきましょう。

 

<NO. 152 平成30年9月1日発行より>

 

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