1958年9月の道徳の時間の特設以来、ちょうど60年の年月を経て、2018年4月、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)が小学校で始まった。中学校は翌年に控え、大きな歴史的転換を迎える。道徳が「特別の教科」となることによって不安に感じていらっしゃる先生方も多いと思われる。 特に大きく変わることは、教科用図書の使用と道徳科の子供の評価である。年間指導計画に基づき、教科用図書を主たる教材として授業を行うことで、これまで以上に道徳科の授業の定着を図る。また、年間35時間、継続的に授業を行うことによって、子供の学習状況や道徳性に係る成長の様子を評価する。このような状況から、とかく教科用図書の使用の仕方や子供の評価の仕方に目が行きがちになってしまうが、子供の道徳性を養うことを目標としている道徳教育や道徳科の本質を見極めて、しっかり取り組んで行くことが重要である。

 

 特に道徳科の授業について、私がいつも学校の先生方にお伝えしていることは、「道徳科の授業を楽しんでもらいたい」ということである。毎週一回、子供たちと共にこれからの生き方や夢に向かって、ときには振り返り、多くは前を向いて自由に語り合う。子供同士、先生を含めた大人、あるいは教材等に登場する先哲の教えに触れるなどの対話ができるところに授業の楽しさがある。他の教科等ではなかなか発表できない子供でも、唯一の正解があるということではない授業では、教師の発問に対する答えを自分の体験から見つけ出して発表していた。また、学級の中では優等生的な子供が、突然、人間の弱さや至らなさを本音で表出して驚くこともあった。さらには、私でもなかなか考えられないようなことを純粋な気持ちで語る子供と出会うと、大人になって失いかけていた大切なものを思い出すことがあった。そして、授業をやり終えた後の達成感や敗北感、これらすべてが授業の楽しさである。

 

 是非、先生方には、子供たちとの対話を通して道徳科の授業を楽しんでもらいたい。きっと、教師としての授業づくりの醍醐味や新たなやりがいを見つけられると思う。

 

<NO. 151 平成30年6月1日発行より>

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