道徳科の全面実施と活力ある道徳教育の創造

 10年前には、ほとんど誰もが手にしていなかったスマートフォンに私たちの生活が支配され始めている。それほどに日進月歩で予測不可能な変化の中、社会の仕事も消えては浮かび、15年も経てばその半数は入れ替わるのではないかとも言われている。

 

 そのような中、本年3月には小中学校の新学習指導要領が告示された。キャリア教育、ESD、ICT教育など、時代が生んだ教育課題への対応が重要になり、従来からの「生きる力」=「知・徳・体」の三区分が総合的に構造化され、次世代を生きる子供に育成すべき資質・能力の三つの柱が示されたのである。その頂点であり中核は「学びに向かう力・人間性」は、まさに「よりよく生きる力」としての「道徳性」に重なるとされる。

 

 2年前に学習指導要領の一部改正が図られ、道徳の時間が「特別の教科」である道徳科へとリセットされた。平成30年度には小学校段階から教科書を主教材とした授業が実施される。まさに、昭和33年に道徳の時間が学校の教育課程に特設されて以来、ちょうど60年目の記念すべき「還暦」の節目である。

 

 長い道徳授業の歩みは、その「負のスパイラル」の側面が強かった。授業の忌避傾向・軽視化傾向で子供も授業を好きになれず、教師のお膳立てが効き過ぎ、マニュアル化した授業が形式化、さらには形骸化を招き、そのイメージが一層悪くなり、忌避傾向が一層強まるという悪循環であった。

 

 道徳科全面実施の最大の課題は、授業の質的改善である。その期待される姿として、「考え、議論する道徳」「主体的・対話的で深い学び」「多面的・多角的な思考」、そしてそれらに基づく「問題解決的な学習」など、多彩なキーワードが席巻している。

 

 道徳授業は、今、アクティブな授業へと先手を打っていかなくてはならない。このビッグチャンスを生かさなければ、次のチャンスは遙か先に遠のくだろう。ぜひ、各地域の道徳教育に関心をもつ教師が協働し、切磋琢磨し合って、柔軟で活力のある「正のスパイラル」を生み出し、これからの道徳教育を共に創っていけたらと思う。

<NO. 148 平成29年8月1日発行より>

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