道徳意識の深化、骨肉化のために

 学校での道徳教育が、特別な教科として、やっときちんとした位置付けを得た。喜ばしいことである。この機会に全ての教育者が、道徳教育の意義とその具体的在り方をあらためて考えてみなくてはならないであろう。

 

 最も避けたいのは、口先だけの道徳が身につくことである。優等生的な子供が、道徳的な価値を表現した言葉をいとも簡単に振り回し、大人の前でもトクトクと口にする、といった姿である。もっと困るのは、そうした覚えたての言葉を使って級友らを「本当はこうでなくてはならないのに、やっぱり駄目だね」などと、いとも簡単に批判するような態度を示すことである。そうした上っ面だけの道徳意識が育つのでは、「この子はまたキレイゴトを!」とか、「何をエラソウに!」といった冷たい目で見られるようになるだけであろう。

 

 道徳教育の結果として、子供の道徳意識が本当に深まっていき、骨となり肉となっていってほしいものである。そのためには、「道徳的にはこうしたことが価値ある」という学びを、何よりもまず自分自身を見つめ直す視点として受け止めることが不可欠である。道徳についての学びを、何よりもまず自分自身についての振り返りと自己吟味、そして自己の改善・向上への努力に結びつけていって欲しいものである。

 

 ベンジャミン・ブルームらは、価値意識に関わる「情意領域のタキソノミー(教育目標の分類体系)」において、道徳意識の学びも最終的には「個性化」まで行かなくてはならないとしている。その人の世界観、人生観の中に組み込まれ、その人の言動の全体を律するものとなり、その人の生き方として実現して行くものにならないといけないものである。

 

 今後の道徳教育の在り方を、こうした大目標を念頭に考えていきたいものである。

<NO. 144 平成28年8月1日発行より>

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