イランカラプテとイチャリバチョーデー

 我が国には、温かい言葉を大切にして生きる人々が住んでいる。昨年9月中旬、全国小学校・中学校道徳教育研究大会北海道釧路大会に参加した。美しい夕日の街での素晴らしい大会。そこで「イランカラプテ」という言葉を知った。アイヌの人々のご挨拶の言葉。あなたの心にそっと触れさせてくださいという意味だそうである。なんと素敵な挨拶を交わすのだろう。

 

 10月末には那覇市に出張。前回は台風の影響で中止となった3年越しの研修。直前に秋田県と宮城県に出張し、自宅には戻らず那覇市に移動するため、服装は一足先に那覇。宿泊した盛岡市のホテルのエレベーター内。同年輩の男性に完璧な日本語で「1階をお願いします。ありがとうございます」

 

 その方「日本語お上手ですね」私「……」咄嗟に返答が思い浮かばず。気まずい沈黙。そういえば、新採の時の綽名は「インド人」だった。「何人に見えますか」と、聞けばどんな答えが返ってきただろう。我が身のことを知ることもこの有様である。自分の姿は見えないもの。我が心を知ることはなおさら。他の人の言葉を聴いて知る我が姿、我が心。

 

 那覇では、教育委員会の方々に正装の「かりゆし」でご参加いただいた。私も「かりゆし」で講話。知り合いの先生の親切な行動が報道されていた。クラゲに刺され困っている台湾のご家族に治療が済むまで付き添われたとのこと。そこまでされたのはなぜかと問われて、「イチャリバチョーデー」、行き会えば皆兄弟という意味だそうである。私には、たくさんの兄弟ができたという幸運。

 

 前回の巻頭言執筆は、東日本大震災直後。あれから5年。被災者であった自分。熊本地震の様子から、当時のことがよみがえってくる。電車も高速バスも動かず、水の出ない自宅に帰れなかった日々。熊本にもたくさんの兄弟が。お悔みとともに、無事であった皆様が一日も早く元気になられることを祈念するばかり。今年少なくとも3回熊本へ行きます。

<NO. 143 平成28年6月1日発行より>

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