ちょっとしたつぶやき

2016/06/01

【学校のちょっといい話】

 

 某中学校の3年生の学級担任をした時のことです。進路指導で大切な2学期に、私の学級の生徒で学校の番長であるN君が「先生、俺だって本当は高校へ進学したいんだ」と私につぶやきました。「そう、何とか先生も君の願いに協力しましょう。後で連絡するからね」と言って、私は職員室にもどりました。そこで、同学年の他教科の先生に「N君が、高校へ行きたいと言ってきたので、私一人では無理だから誰か協力してくれませんか」と呼びかけました。

 

 するとS先生が「応援するよ」と応えてくれました。そこで、S先生と二人で特別に教えることになりました。すぐにこのことをN君に話すと、「俺、やってみる」という返事があり、やることに決まりました。放課後は仲間と一緒に帰宅し、7時ごろ彼一人が再登校して勉強の特訓を受けるものでした。彼はしっかりとやり通しました。今思うと「よくやったなあ」と思います。

 

 ところが受験した都立学校の合格発表の日に、彼はなかなか合格発表を見に行けずにいました。午後になると「俺は不合格でも仕方がない。でも面倒を見てくださった先生にがっかりさせたくない」と言いながら合格発表を見に行きました。その日の夕方遅く、彼は合格の通知の入った封筒を持って学校に帰ってきました。残っていた私たち教員は彼を全員で胴上げし、一緒に喜びを味わいました。この出来事は、下級生に伝わり、その年以後、番長の継続がなくなり、学校の荒廃を止めるきっかけとなりました。

<NO. 143 平成28年6月1日発行より>

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